トップ > ライフアシスト > いきいきOB訪問2

ライフアシスト

いきいきOB訪問2

観光ボランティアガイドで目覚めた“郷土愛”

西澤 玲子 さん

お城と桜で名高い弘前で観光ボランティアガイドを務める西澤さん。
お客さまが何に興味があるかを判断し、こちらの知識を押し付けないことを大切にしながら、訪れた人の思い出の一ページに「満足」のひと言を書き添えたいと、日々奮闘している。

本文

冊子本文はPDFにてご提供しております。本ページをご覧いただく前に是非ご一読ください。

観光ボランティアガイドで目覚めた“郷土愛” 本文(PDFファイル 1.5MB)

サイドストーリー

取材当日(4月25日)、桜の開花を心配していたことが杞憂であったかのように、弘前公園の桜は満開で迎えてくれた。観光客が押し寄せる多忙な中、時間を割いていただいての取材となった。

西澤さんが観光ボランティアガイドとして活躍する弘前市は、みちのくの小京都と呼ばれる歴史と史跡、自然環境と観光スポットに恵まれた地域。そんな土地でボランティアガイドをする西澤さんの知識は、日々の研鑚と旺盛な好奇心によって培われていた。

そんな一端を披瀝していただいたのが「公園の桜は、明治15年に旧弘前藩士が弘前公園(弘前城跡)に桜の苗木千本を植えたのが始まりで、明治末から市民による寄贈が盛んとなり現在の活況を呈するまでになった」とか。「弘前城の石垣は、野面(のずら)積み、打ち込み接(はぎ)、切込み接(はぎ)のすべてによる。現在の天守は幕末になって、蝦夷地警備の長年の功績により幕府の許しが出たもので、二百年近い前からの念願だった天守復活である」など、興味深いガイドを続けてくれた。

ガイドをする上で特に注意をしているのは「お客さまが何を望み、何に興味を持っているかという、お客さまからの視点。そして、お客さまの体調や歩調に合せること。知識の押しつけより、楽しいひと時を過ごしていただけるよう配慮すること。お客さまの地元のことなども聞くこと」などと、お客さまに楽しんで頂くための工夫を心掛けているそうだ。

弘前公園の観光スポットを案内していただいた後、敷地内にある植物園で話を伺うことになった。満開の桜を愛でながら歩いた城内と違い、植物園は閑静な趣に満ちていた。ここで、ガイドのことや弘前の見所、西澤さんとっておきのスポットなども聞かせていただいた。

観光シーズンの春季(桜まつり)、夏季(ねぷたまつり)、秋季(菊・紅葉)と三回の特別活動では公園内にガイド案内のテントを二ヶ所に設置して無料ガイドを実施。それ以外の一般活動ガイドとして、本丸ガイドや早朝ガイド、町歩きのガイドなどがある。(問い合わせ先:弘前観光コンベンション協会 電話0172-35-3131)。

公園内のガイド案内テント公園内のガイド案内テント

史跡弘前城

津軽統一を成した、津軽氏の居城として1611年に完成し、廃藩までの約260年の歴史を紡いだ弘前城。明治28年に弘前公園として一般開放され、昭和27年に史跡に指定された。
広さは49.2haで、東京ドームの約十倍だそうな。園内をゆっくりと歩けば一周約2時間程とのこと。

本丸跡はソメイヨシノやシダレザクラなどの桜の銘木が数多く、遥かに望む岩木山の山姿が絶景。下乗橋の右手上に眺めた天守(寛政3年築)は、現在は100年ぶりとなる石垣補修のために、70mほど曳屋されて本丸側に移動している(平成33年度に戻される予定)。
この曳屋工事は、平成27年9月20日から27日を曳屋ウィークと命名して全国から希望者を募り、総勢2500人が参加して移動させたそうだ。
公園内には五つの城門、三つの隅櫓が現存し、いずれも重要文化財に指定されている。園内の水濠には八つの橋が架けられ、西濠に面して300本の桜のトンネルがあり見事だ。
日本最古のソメイヨシノや見事な松もあり、桜と松の緑のコントラストが美しい。

弘前城天守閣と岩木山弘前城天守閣と岩木山

ボートから桜を楽しむボートから桜を楽しむ

自然遺産とリンゴ

弘前市の南西部から秋田県の北西部に広がる「白神山地」は、ブナの原生林が広がる世界自然遺産の森。初夏の新緑、秋の紅葉と、カモシカや野鳥が棲む森はトレッキングや散策に最適だ。

弘前と言えば「リンゴ」がすぐに浮かぶが、その収穫量は日本一を誇り、三百万本以上のリンゴ樹が植えられている。リンゴの加工品であるジュースやシードル。そしてアップルパイを製造販売するお店は50店舗以上もあり、街歩きをしながら店それぞれに工夫を凝らしたパイが堪能できる。

リンゴ畑と岩木山リンゴ畑と岩木山

洋館の似合う町

弘前には明治期からのハイカラな洋館が多く保存されている。弘前公園からすぐの重厚な建物「青森銀行記念館」(国指定重要文化財)、ルネサンス様式の「旧弘前市立図書館」、「弘前学院外人宣教師館」、「弘前カトリック教会」など、重要文化財、有形文化財に指定された建物探訪を楽しむことができる。

青森銀行記念館青森銀行記念館

旧弘前市立図書館旧弘前市立図書館

固有の文化と特産品

盲目の門づけ芸人から生まれたという「津軽三味線」は、明治期に入り民謡の伴奏となり、やがて単独の楽器として独自に発展した。弘前には、津軽三味線の生演奏を聞かせてくれる店が数多くあり、観光客を楽しませてくれるほか、津軽の郷土料理をいただくことができる。

そして、弘前の夏を彩る「ねぷた」は、一年中「津軽藩ねぷた村」(弘前公園のそば)で見ることができる。ここでは、津軽三味線の演奏が楽しめるほか、民芸品の展示販売、津軽地方のお土産品がある。
ハイカラな土地らしく、フランス料理の店やカフェの多さ、一方では「津軽漬」や「津軽塗」という地場産の逸品もある。

最近の観光コンベンション協会の取り組みとして興味を引いたのが、津軽海峡を挟んだ函館市とのコラボレーション。津軽海峡二都物語 弘前×函館 エキゾチックな街歩きという、両市の史跡や特産品を並べた写真入りのガイドブックまで発行されていた。

西澤さんにとって、観光ボランティアガイドは「楽しみであり、人との交流の場」とのことだが、その楽しみをより意味深くしているのが、絶えざる研究の積み重ね。ガイド用のパンフレット・資料を詰めた手提げに入った厚みのある閻魔帳には、黒や赤文字でビッシリと書き込みがされていました。

最後に、西澤さんが数年前の猛暑に詠んだ川柳を紹介。
「もったいない備蓄しておきたいこの猛暑」
やがて訪れる寒い冬を思うと、この猛暑さえもとっておきたいと思う心情を詠んだこの句は、地元紙の東奥日報に投稿して掲載されたそうだ。
見聞を広げ続ける西澤さん、これからも観光ボランティアガイドとして充実した日々を歩まれることだろう。

(LA No.397)

このページのトップへ