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いきいきOB訪問1

地域への恩返しのため 人力車で町おこし

松本 髙明さん

風情のある城下町には人力車がよく似合う。
岡山県の内陸部にある真庭市・勝山は歴史のある町並みとともに「のれん」の町としても有名だ。開業から15年目を迎えた松本さんの人力車は、地元勝山はもちろんのこと、岡山のあちらこちらのイベントに呼ばれる人気の人力車だ。

本文

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地域への恩返しのため 人力車で町おこし 本文(PDFファイル 1.2MB)

サイドストーリー

のれんのある町並みを夫婦(みょうと)人力車が走る

生まれ育った勝山の町おこしの一助にと、人力車を始めることにした松本さんだが、奥様には反対される。その理由を奥様に尋ねると「目立つこと、派手なことが嫌だった」とのこと。それでも、「人力車まつもと」がスタートすると、7年にわたり車を引くご主人に付いて一緒に町を歩き、今でも3月初旬からの「勝山お雛まつり」と、老人ホーム慰問には同行してお手伝いをされるそうだ。

今、奥様が心配をするのは、ご主人の体、健康である。古稀を過ぎたこともあるし、サッカーで鍛えた体力にも衰えがくる。三年前には熱中症になりながらも、予約客のために人力車を引くという辛いこともあった。「風の強い日などは、人力車が風で倒れないか心配になります」とのこと。そんな奥様と孫の真一君、人力車のお手伝いを頂く同級生の坂元さん、神谷さんの両スタッフには大変感謝しているとのこと。

土・日曜日の営業日には人力車を引く松本さんだが、一つ心残りがあるようだ。それは、孫の真一君がスポーツ大会で活躍する姿を見れないこと、応援ができないことだ。子ども車夫として三歳から手伝いをしてくれた真一君は、小学校四年生になった。空手や相撲の大会で大活躍をしているそうだが、真一君の試合がある土・日には仕事がある。孫の晴れ姿を見に行けない、応援に行けない、これが一番の悩みのようでした。

勝山観光ひと口メモ

松本さんには、「人力車まつもとの代表」の他に、勝山観光協会の副会長という肩書を持つ。勝山藩2万3千石の城下町として、また出雲街道の宿場町として栄えた勝山だけに、本誌で紹介した「町並み保存地区」のほかに、由緒ある社寺が在る「勝山歴史さんぽ道」や、昭和初期まで旭川を利用して物産が行き交った高瀬舟の船着き場跡、武家屋敷資料館など見どころが沢山ある。また、三月初旬に始まる「お雛まつり」は、商家や民家の軒先や部屋に飾ったお雛さまを楽しんでもらうもの、10月19日・20日の「勝山祭り」は喧嘩だんじりとして知られる勇壮な秋の祭礼だとか。
松本さんから紹介された、観光・見所のすべてを紹介できないが、松本さんの趣味である写真にまつわる話として、真庭市や勝山のことを若干案内します。

キャリア54年の写真はセミプロ級の腕前

第2の人生は、人力車で地域への恩返しをすると、70歳になった今も現役を続ける松本さん。実は、長年たしなんできた趣味があります。それは写真です。これまで、数々の写真コンテストでも表彰されたほどの腕前です。
カメラを初めて手にしたのは、高校2年生の時です。アルバイトでためたお金で、高校の修学旅行用にとカメラを購入したのがきっかけです。電電公社入社後も、愛車に乗って観光名所や祭りを撮り歩いたとのことです。

のれんの町・勝山町並み保存地区−風情ある城下町を人力車で

まずは松本さんの生まれ育った勝山。白壁や格子窓の商家、なまこ壁の土蔵など伝統的な建造物が並び、いにしえの城下町のたたずまいを今に残しています。この町並みは昭和60年に岡山県で初めて『町並み保存地区』に指定されました。これは倉敷よりも早い指定です。そして、その町並みを、彩っているのが「のれん」です。お店や民家も含め118軒もの軒先に、下駄や花などをモチーフにしたのれんがあり、「のれんアート」の町としても有名です。平成21年には、都市景観大賞「美しいまちなみ賞(国土交通大臣賞)」を受賞しています。おすすめの楽しみ方は、やはり松本さんの人力車に乗って、のんびりと町並みを見てまわることです。松本さんのガイドも楽しめます。

●撮影ポイント

「勝山は、シリーズ最終作『男はつらいよ−寅次郎紅の花』のロケ地となったところです。御前酒造元の前に記念碑がありますが、そのあたりの白壁と人力車が撮影ポイントになります。御前酒造元では試飲もできますので、お好きな方はぜひ」

お店や民家の軒先を飾るのれんアート
お店や民家の軒先を飾るのれんアート

高瀬舟発着場跡−いつか見た風景に出会える場所

勝山の城下町は、旭川に沿って発展しました。旭川はかつて、重要な輸送経路で、物資の輸送は、すべて川を利用していました。旭川では、勝山が最上流の船着き場で、今も川沿いの石畳が残っています。県内でも、これだけ完全に残っているところは他にないと言います。昭和9年まで使われていた発着場跡は、当時の隆盛を偲ばせる場所です。

●撮影ポイント

「川には、神橋、中橋、鳴戸橋、勝山大橋の4つがあります。住んでいると当たり前の景色なのですが、訪れた人は周囲の山々と川と船着き場と、とても絵になると言います。橋の中腹から船着き場跡を撮ってもいいし、山々の自然と一緒にとってもスケールの大きな写真が撮れます。また、神橋は「喧嘩だんじり」の山車もとおる橋なので、それもシャッターチャンスです」。

船着き場跡
船着き場跡

勝山郷土資料館−かつての勝山電報電話局

松本さんにとって忘れがたい建物、かつての勝山電報電話局は、現在、勝山郷土資料館として利用されています。勝山の商家に関する資料のほか、勝山藩主・三浦家にまつわる古文書、武具、生活用品などを展示しています。また、終戦間近に勝山に疎開してきた谷崎潤一郎の資料も展示されています。

旧電報電話局の勝山郷土資料館
旧電報電話局の勝山郷土資料館

醍醐桜−樹齢千年の桜

標高の高い山里の高台に、そびえ立つ「醍醐桜」。そのたたずまいは圧巻です。樹高18m、枝張り東西南北20mの巨木で、樹齢千年と言われています。伝説によれば、後醍醐天皇が隠岐配流の際にこの桜を見て賞賛したと言われ、この名がつきました。ライトアップもあります。

樹齢1000年の「醍醐桜」
樹齢1000年の「醍醐桜」

●撮影ポイント

「桜の勇姿だけを撮るなら、早朝の観光客のいない時間です。時間がたつにつれ、観光客でごったがえしますから。この桜は、私も気に入っている被写体です。どの方角から見ても、いろんな表情を見せてくれます。高台にそびえていますので、バックの青空に桜の木全体が映えます」

神庭の滝−中国・四国・九州地方随一のスケール

高さ110メートルの「神庭の滝」
高さ110メートルの「神庭の滝」

日本の滝百選にも選ばれた、高さ110m、幅20mの名瀑。中国地方随一のスケールです。断崖絶壁を流れ落ちる豪快な滝は迫力満点です。滝の中央には、突起した黒い岩があり、落下する水しぶきに逆らって昇る鯉に似ていることから「鯉岩」と呼ばれています。周辺は、県立自然公園に指定され、種々の樹木が茂り四季を通じて景観を楽しむことができます。また、一帯には約160匹近くの野猿が生息していて、時折、えさ場に降りてきて訪れる人に愛嬌をふりまいています。

●撮影ポイント

「四季を通じてさまざまな表情が撮れます。新緑のあざやかな緑と滝、紅葉と滝、また雪景色と滝も神秘的です。また、野猿もきますので、運が良ければ“猿と滝”といった面白い写真も撮れます」

旧遷喬尋常(せんきょうじんじょう)小学校校舎−明治40年建造のモダン建築

勝山の隣町、久世のシンボルです。明治40年建築の木造校舎は、平成2年まで現役の校舎として使われていました。完全なシンメトリーのデザインで内部は檜が贅沢に使われています。幅広の回遊式階段を大胆に配し、講堂の天井部分は格式の高い二重折り上げで仕上げた洋風の格(ごう)天井です。「ALWAYS三丁目の夕日」「火垂るの墓」など映画やドラマのシーンにも使われました。平成11年に国の重要文化財に指定されています。

旧遷喬尋常小学校校舎
旧遷喬尋常小学校校舎

●撮影ポイント

「外観はどこから見ても絵になりますが、シンメトリーを強調するには真正面から撮るのが良いでしょう。校舎内も昔懐かしく、ノスタルジックな写真が撮れます」

旧勝山城主三浦家の住居−椎の木御殿

明治2年版籍奉還により、三浦藩主の居所として、この地に建てられました。門前に樹齢数百年とされる「椎」の大木があり、通称「椎の木御殿」と呼ばれています。静謐な山あいにひっそりと佇んでいます。桜、あじさい、紅葉、椿と四季折々の彩りが楽しめます。

旧勝山城主三浦家の住居「椎の木御殿」
旧勝山城主三浦家の住居「椎の木御殿」

(LA No.397)

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