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OB対談 | いきいきセカンドライフ

中村 光伸さん(左)と高城 昌彦さん
中村 光伸さん(左)と高城 昌彦さん

風を感じて潮を読む ヨットは人生そのもの

高城 昌彦 さん & 中村 光伸 さん

白い帆をあげて青い海を爽快に進むヨット。
体験したことのない人手も、心躍る光景ではないでしょうか。高城さんと中村さんは、現役時代からヨットと深くかかわり、外洋ヨットのグランプリレース「ケンウッドカップ」に出場するなど活躍しました。
今も「江の島ヨットハーバー」を拠点に仲間とともに所有するヨットでマリンライフを楽しんでいます。

本文

冊子本文はPDFにてご提供しております。本ページをご覧いただく前に是非ご一読ください。

風を感じて潮を読む ヨットは人生そのもの(PDFファイル 1.6MB)

サイドストーリー

歴史あるヨットハーバーにて

平成4年のケンウッドカップ出場をきっかけに知り合った高城さんと中村さん。今では仲間とともに九人で「ライディーン」というヨットを共同所有しています。今回の取材は、そのヨットで4月中旬に行われました。

ヨットを係留しているのは、神奈川県藤沢市にある東日本最大級のヨットハーバー「江の島ヨットハーバー」。昭和39年に東京オリンピックのヨット競技場として整備された歴史ある施設です。競技に最適なハーバーであることから、年間130回以上もレースが開催される場所でもあります。この日も、伝統ある「ノルウェーフレンドシップヨットレース」が開催されるとあって、多くのヨットマンたちでにぎわっていました。

江の島は昨年6月のIOC理事会によって、2020年開催予定の東京オリンピックでセーリングの競技会場になることが決定しました。

歴史あるヨットクラブでの二人
歴史あるヨットクラブでの二人

江の島ヨットハーバー
江の島ヨットハーバー

ケンウッドカップの輝かしい歴史と無念の事故

天候は薄曇り。風はあまりなく、セーリングに最適な気候というわけではありません。しかし、この日のために高城さんと中村さんのヨット仲間で共同オーナーの中島さん(かつて、470級の国際レースで四位に入賞)が、早い時間から一生懸命に出航の準備を進めてくださいました。

出航に先立ち、船内のキャビン(居室)にてインタビュー。そこは意外に広くキッチンも完備しています。ソファに座った高城さんと中村さんは、ホームグラウンドとあってリラックス。ヨットにまつわるさまざまなエピソードを語ってくださいました。特に熱く語ったのがケンウッドカップについて。ハワイを拠点に開催されたこの外洋レースには、NTTが電話100年記念事業の一環として出場を計画、当時の最高レベルのヨット設計者の手による艇「ドリームピック」を建造。クルーは社員から募集し、厳しい訓練を経て出場を果たすことができました。そして、高城さんや中村さんたちメンバーは、優秀な成績を収めました。

ヨットマンとしての輝かしい歴史の1ページですが、悔やみきれない出来事もありました。本誌でも触れていますが、練習を兼ねたレースに向かう途中の駿河湾から遠州灘に差し掛かった時、クルーの一人が夜の海に転落。すぐに艇を返し、命綱を付けたクルーが海に入り救い上げたそうです。この間15分程の出来事だったようですが、波浪で海水を飲んだことで亡くなります。
この事故による無念と責任を、艇長を務めた高城さんは生涯背負っていくと胸に刻むことになります。

ヨットを、海を愛する男の厳しさと切なさを、余人が伺い知ることはできないかもしれませんが、それは高城さんのストイックな生き方となって現れる。今年もまた巡ってくる5月21日の命日、仲間とともに墓前へ赴くとのことですが、この取材のことも語りかけてくれたに違いありません。

インタビューを通して感じたのは、ヨットへの限りない愛。ヨットの話をする時のお二人の生き生きとした表情が、それを如実に物語っていました。

1992年 KENWOOD CUP
1992年 KENWOOD CUP

船内での対談風景
船内での対談風景

風を受けて走る艇

インタビュー後には、いよいよ出航です。取材スタッフもライフジャケットを着用します。力強いエンジンの音、船上でスタンバイする高城さんと中村さん。その表情はインタビュー時とは違う厳しいものでした。取材のためのほんの短いセーリング。レースのような真剣勝負の場ではありませんが、それでも海には何が待っているかわかりません。お仲間とともに役割分担しながら、万全の態勢で作業をする高城さんと中村さん。慎重に係留場所を離れてヨットは相模湾へと走り出します。

しばらくしてから、ヨットに高く帆があげられます。エンジンが止められ、風を受けて船が走ります。力強さと繊細さの同居した動きで、帆を操るヨットマンたち。遠くには逗子や葉山の風景も見えます。ヨット未経験の取材スタッフにも、その醍醐味の一端がうかがえた気がします。
ちょうどよい頃合いに、今度は動画用に船上でお二人にインタビュー。船内でのインタビューとはまた違った表情が見られました。(インタビュー動画は最後に)


出港準備


帆走する「ライディーン号」

短いセーリングが終わり、船は帆をたたみ、再び係留場所へ戻ります。陸地へ降りた高城さんと中村さんに、他のヨットマンが声をかけます。長らくこのヨットハーバーを拠点にしているだけに、親しいヨット仲間もたくさんいるようです。まさに海の男たちの友情!

近年、江の島は観光地として人気を集め、この日も多くの老若男女が訪れていました。取材終了後、高城さんや中村さんたちヨットマンは、近くの行きつけの食堂でランチを兼ねてお疲れさまの乾杯。これもまたセーリングのあとの楽しみなのでしょう。とびっきりの笑顔とともに、様々な話題について語り合うものの、最後はやっぱり海やヨットの話。いつまでも話が尽きることはありません。
ヨットというと一般の方には手が出しにくい趣味に思えますが、高城さんや中村さんたちのように共同で所有すれば、意外にリーズナブルなコストで楽しむことができそうです。また、各地のヨットクラブでは一人でも参加できるスクールを開催しています。皆さんも機会があれば、海に帆をあげてみてはいかがでしょうか。

ヨットにはさまざまな種類が

ヨット(セーリング)とひと口に言ってもその種類・形状はさまざま。数十人が乗れる大型の豪華な遊行船から、主に一人や二人で操るディンギーと呼ぶ小型の帆船やウインドサ−フィンまでと幅広い。オリンピック種目も開催年・開催地により競技艇の変更があり、セーリングヨットの世界は奥が深い。

取材で乗船させて頂いた「ライディーン」は、キャビンのあるエンジン付きのクル−ザ−で、十名以上が乗船することができる。艇長は34フィートとか。この艇は、進水してから既に三十年近くなるそうですが、手入れが行き届いた外装は綺麗でした。が、キャビンの内装までは予算の関係で手が届かないと笑っていた。

様々なヨットが停泊する江ノ島ヨットハーバー
様々なヨットが停泊する江ノ島ヨットハーバー

編集子余話

四十年余も前の夏のことで恐縮するが、江の島で電電東京ヨット部主催の「ヨット教室」が二泊三日で開催された。二十代半ばだった編集子は、そのヨット教室に参加して、初めてのヨット体験をしている。
初めて訪れた江の島ヨットハーバー。青い空と輝く海原、そして浮かぶヨット。470級という二人乗りのセーリングヨットに、指導のヨット部員と一緒に乗船。ジブ(前にある小さな帆)の上げ方やタッキングという方向転換などを習う。そして、船体から海原に体をせり出して艇を傾けて海原を疾走するセーリングの快感を知りました。
今回の取材で、青春時代に味わったひと夏の感激が鮮やかに甦ってきました。
その時、メインのクルーザーの舵を取っていたのが、今回、取材に応じて下さった高城さんでした。海の男、まさにこの表現がピッタリする頼もしさでした。
あの無念の事故以来、表にでないと決めていた高城さんに取材の無理をお願いすることになった。当初、首を縦に振ってくれなかった高城さんが、最後に応じてくれたのは、海で亡くなった仲間への弔いにしたいとの思いではなかろうか。

四十年余前の、あの時の高城さんと変わりなく舵をとるその姿に、半世紀に渡り海とヨットを愛し、潮風で磨いてきた男の厳しさと優しさを見るようだった。

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(LA No.397)

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